ショートショートを書いてみたけど
ショートショートをまた書いてみたんですけど、これがまた何ともネタ的に発表の場が無いのでここで。相変わらず金にならない才能の持ち主だな俺は。スクロールすれば分かりますけど短いです。
待つ事しか出来ない
N氏が永い眠りから目覚めた。N氏の隣には医師が付き添っている。
「…今は何年です?」N氏は医師に尋ねた。
「今年は2027年ですよ。」医師が答えた。
「…そうですか。思っていたよりは早かったですね。…ですが。」
N氏は周囲を見渡した。
「私の家族の姿が見えないのですが、連絡はまだしてないのですか?」
すると医師は下を向いたまま黙ってしまった。
「…まさか20年の間に家族に何かあったのですか!?」N氏は医師を問い詰めた。
医師は言い淀んだのち、口を開いた。
「…ところでNさんは確かかなり初期の冷凍睡眠者(コールド・スリーパー)でしたよね?」
「ちょっと!話をそらさないで下さいよ!やっぱり家族に何かあったのですね!?」
「まあ、聞いてください。カルテによりますと2006年に冷凍睡眠に入っていますね?」医師は話をそらしていた。
「ええ。治療法のない奇病ですから、当時まだまだ実験段階で危険とは言え他の方法はなかったですから。」
「そうですか。その後、貴方が眠っているうちに冷凍睡眠の方は急速に技術が進みましてね、今では気軽に…とというわけでもないですがまあ誰でも安全に出来る様になったんです。」医師は明らかに何かを隠して喋っていた。
「一体うちの家族に何があったんですか!?」
医師は天を仰いだ後、真相を話し始めた。
「貴方のご家族は全員、現在冷凍睡眠をなさっています。」
「ええ!?一体何の病気です!?治療法の目処は何年先なのですか!?」
「…いえ、それがご病気ではないのです。」
N氏は不思議がったが、ある考えに思い至って医師に尋ねた。
「…もしかすると家族は私と時代を合わせる為に冷凍睡眠して私を待っているというのですか?」N氏は涙を流していた。
医師が答えた。
「…いえHUNTER×HUNTERという漫画が2007年からずっと中断していましてね──。」